こんにちは、宅地建物取引士の井上裕士です。

先日の私達エンディングパートナーが出演するラジオ番組「オレココ」の終活コーナーに頂いた質問を今日はご紹介します。

 

「宅地建物のエキスパートさんに質問です。 生前贈与で相続税を抑える方法の中で家を用いた方法はありませんか。」という質問がリスナーの方から届きました。

 

自宅を使った生前贈与として代表的な例として「おしどり贈与」というものがあります。

おしどり贈与とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で自宅の不動産を贈与する場合、2千万円までは贈与税がかからないという制度です。2016年は1年間で1万1261件の適用がありました。残された配偶者の老後生活を保障する手段として改めて注目されています。

 

おしどり贈与は同じ配偶者に対して一生に1回だけ適用してもらえます。配偶者がいま住んでいる自宅だけでなく、新たに自宅とする不動産を買うためのお金を贈与する場合も対象となります。そして、贈与税にはもらう人1人当たり年間110万円の暦年の非課税枠があります。おしどり贈与とあわせると、自宅の土地・建物も自宅取得資金も、2110万円までなら贈与税がかかりません。

 

日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳なので、同い年の夫婦であっても夫に先立たれた妻には約6年間の余生があります。夫が年上なら妻の余生はさらに長くなります。おしどり贈与の多くは夫から長年つれそった妻への感謝のしるしであると同時に、妻の老後の生活保障という意味合いがありますので、ご検討してみてはいかがでしょうか。

 

また、相続の際に相続税の支払いのためになくなく自宅を売却せざるおえない状況を避けるために「配偶者居住権」という新しい制度が誕生しました。この制度は、相続が発生した際に、配偶者が被相続人の所有する不動産の居住権を獲得できる権利のことです。高齢になって家を引っ越さないといけなくなるのは大変な負担です。その負担をこの制度で免除しようという考え方です。ただし、配偶者居住権の施行日は2020年4月1日なので注意が必要です。

 

相続は、みなさんははじめて経験することですので、様々な制度があるもののあまり知られておりません。こういった知識を身につけて、ハッピーなエンディングを迎えるお手伝いをこれからもさせていただきます。

 

毎週水曜日の「オレココ」の終活コーナーでは毎週質問に専門家が直接お答えしております。ぜひ聞いてみてください。

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